【知らないと大損】クラウドファンディングの税金は種類によって異なる

【知らないと大損】クラウドファンディングの税金は種類によって異なる

クラウドファンディングは、プロジェクトを立ち上げた人が、インターネットを通じて不特定多数から資金を集める方法です。実際にプラットフォームなどを通じてクラウドファンディングに参加したことのある方もいるでしょう。

 

比較的新しい資金調達方法だけに、クラウドファンディングにかかる税金については、まだそれほど広く理解されていないかもしれません。実際にかかる税金は、プロジェクトを公開して資金を集める「資金調達者」と、プロジェクトに参加する「資金提供者」で大きく異なります。またクラウドファンディングの種類によっても、かかる税金が変わってきます。

本記事ではそれぞれの詳細について紹介します。実際の例に当てはめてみればそれほど難しくないので、ぜひ自分のケースに当てはめながらチェックしてみてください。

 

クラウドファンディングの3つの種類

まずはクラウドファンディングの3つの種類から説明します。

 

購入型クラウドファンディング

 

資金調達者がプロジェクトを起案して募集期間・目標金額を設定するのが、購入型クラウドファンディングです。資金提供者が支援した金額に応じたリターンとして独自の商品やサービスの提供を受けます。

 

寄付型クラウドファンディング

 

寄付型クラウドファンディングは、資金調達者のプロジェクトに対して資金提供者が「寄付」の形で支援金を支払う仕組みです。寄付型には金銭的なリターンがなく、あってもメッセージや活動レポートなどの非金銭的なものにとどまります。

 

投資型クラウドファンディング

 

投資型クラウドファンディングでは資金調達者がプロジェクトに対するリターンとして、資金提供者に分配金や株式を提供します。資金提供者が金銭的リターンを対価として得られる点が購入型や寄付型と大きく異なる点です。

 

クラウドファンディングの種類別メリット・デメリット

3つの種類には、それぞれ次の表のようなメリットやデメリット、注意点があります。

 

  購入型 寄付型 投資型
メリット 支援金に応じたリターンがあり資金調達者を集めやすい 資金調達者が集めた資金の大半をプロジェクトに費やせる 資金提供者が少ない金額から投資可能・高いリターンが期待できる
デメリット 資金調達に時間がかかる・目標額まで集まらない可能性がある 資金提供者へのリターンがないため資金を集めにくい 高リターンが期待できる分、リスクが高い。原則、元本保証はない
注意点 資金調達にかかる時間を見込んで計画を立てる必要がある 資金提供者を集める工夫が必要となる 設定された運用期間内は解約できないタイプが多い

 

ここからは、「購入型」「寄付型」「投資型」の3種類で、資金調達者と資金提供者のそれぞれに関連する税金を分かりやすく紹介していきます。

 

クラウドファンディングの税区分や会計処理方法は?

クラウドファンディングでは、プロジェクトを起案する「資金調達者」か「資金提供者」かで、税区分や会計処理方法が異なります。まずはそれぞれの立場で知っておきたい税金の基本を確認しましょう。

 

「資金調達者」の場合

 

資金調達者は原則として課税対象です。ただし「購入型」「寄付型」「投資型」のどれにあたるかによって、課税される税金の種類が変わります。さらに資金調達を「個人」の立場で行うか、「法人」の立場で行うかによっても所得の区分が異なってくる点にも注意が必要です。

 

【購入型×個人】

個人が購入型で資金調達するケースで集めたお金は所得税の対象です。所得の区分は個人事業主として集めた場合「事業所得」、個人事業主の届け出を出していない場合は「雑所得」です。

 

【購入型×法人】

法人の立場で購入型を行って集めた資金は「法人税」の課税対象です。集めた資金は「事業所得」として計上され、法人の最終的な売上の一部として算入されます。売上に算入するタイミングは、資金の入金時でなく、リターンとして商品やサービスを提供したタイミングです。

 

【寄付型×個人】

個人の立場で寄付型を起案した場合、資金提供者が「個人」か「法人」かで所得の区分が変わります。個人または個人事業主として「個人」から資金を提供された場合は「贈与税」です。個人同士の贈与は所得税の対象にならないため、所得税の確定申告は必要ありません。

個人または個人事業主として「法人」から資金提供を受けた場合は、所得税の「一時所得」として処理します。

 

【寄付型×法人】

法人として寄付型で個人から資金提供を受ける場合、寄付金は「受贈益」となり、法人税の課税対象です。法人から法人への寄付型の資金提供でも扱いは同じで、法人税の課税対象となります。

 

【投資型×法人】

投資型で資金を募るには、貸金業者や金融商品取引業者として登録する必要があります。そのため投資型を起案するのは原則として法人です。

 

法人が投資型で資金を集める場合、募集時には税金がかかりません。もちろん集めた資金を元手にして事業収入を得れば法人税の課税対象ですが、クラウドファンディングの段階では課税されないため、集めた資金をそのまま事業に充てることが可能です。

 

確定申告の方法と期限

個人でも法人でも、資金調達者には原則として、確定申告の義務があります。確定申告では集まったお金を集計して、経費とともに収支内訳書に記入して所得を計算します。集めた資金から経費を差し引いた金額がクラウドファンディングの「所得」です。

 

経費には、掲載サイトの手数料や商品やサービスで発生した費用や発送費、インターネット料金や事務所の家賃・水道光熱費などが計上できます。いずれの経費も領収書などの証明書類に基づいて計上し、保管しておくことが大切です。

 

個人または個人事業主の所得税の確定申告は、1月1日〜12月31日の所得と税額を自分で計算して、翌年の2月16日から3月15日までに税務署に申告・納税するのが原則です。

法人所得税は、事業年度終了日の翌日から2カ月以内に申告しなければなりません。例えば決算が3月31日なら5月31日までに申告する必要があります。

 

出典:国税庁「申告と納税」(2022-09-14)

 

出典:国税庁「法人税/確定申告書の提出期限」(2022-09-14)

 

確定申告が不要となるケースもある

クラウドファンディングで資金調達した場合であっても、確定申告が不要なケースもあります。

 

まず他に雑所得や一時所得などがなく、年間の所得がクラウドファンディングのみで、48万円以下の場合です。所得税では48万円の基礎控除が認められており、年間所得が48万円以下の場合は非課税となるためです。

 

個人事業主で年間所得の合計が48万円以下となるケースは少ないかもしれません。しかし、学生や専業主婦がクラウドファンディングで資金を集めた場合、このケースに当てはまることがあります。

 

給与所得者の場合では、クラウドファンディングでの所得と他の雑所得を合計した金額が、20万円以下なら申告の必要はありません。ただし「年収2,000万円以下」かつ「年末調整をしている」場合に限ります。給与所得者で「小遣い稼ぎにクラウドファンディングを起案してみた」方などは該当するかもしれません。

 

出典:国税庁「No.1199 基礎控除」(2022-09-14)

 

出典:国税庁「副収入などがある方の確定申告」(2022-09-14)

 

開業届を出していれば青色申告が可能に

個人が資金提供者になる場合、住所のある税務署に開業届と青色承認申請書を提出すれば確定申告時に最大65万円の青色申告控除の適用が可能です。

 

開業届とは、事業の開始を申告する書類のこと。正式名称は「個人事業の開業・廃業届出書」です。開業届と青色申告承認申請書を提出することで青色申告控除の適用が可能になります。

 

開業届は、開業日から1カ月以内の提出が義務付けられています。そのため「個人事業の開業・廃業届出書」の記入項目にある開業日は、開業届提出の1カ月前までの日付にするのが一般的です。

 

手続きは税務署に行って、窓口にある「個人事業の開業・廃業届出書」と「青色申告承認申請書」に必要事項を書き込んで提出するだけです。国税局のホームページ(※)で書類をダウンロードして記入した後、郵送しても構いません。

 

[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続(2022-09-14)

 

出典:国税庁「No.2072 青色申告特別控除」(2022-09-14)

 

出典:国税庁「[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続」(2022-09-14)

 

「資金提供者」の場合

資金提供者は基本的に資金を提供しているだけで、金銭を得ているわけではないため、原則として非課税です。ただし非課税の資金提供も確定申告をすることで、トータルで見た時に節税につながることもあります。節税できるか否かは、クラウドファンディングの種類によって変わってきます。

 

【購入型】

購入型は、商品やサービスを購入するのと同じ扱いになるので、資金提供者には課税されません。確定申告をする個人事業主や法人であり、受け取ったリターンを業務に使用する場合は、支払った資金を経費として算入できます。

 

【寄付型】

寄付型で支払ったお金も非課税です。個人が一定の資金調達者に支払った場合は、確定申告の「寄付金控除」の対象です。寄付金控除の詳細や計算方法はのちほど詳しく紹介します。

 

【投資型】

投資型でも出資した資金には課税されません。ただし、提供したプロジェクトから分配金や利息を受け取った場合、利益が所得税の課税対象となるため、利益確定後に確定申告が必要です。

 

まとめると以下の通りです。

 

購入型 非課税:個人事業主や法人は経費にできる場合もある
寄付型 非課税:寄付控除の対象になる場合もある
投資型 出資時は非課税:分配金の受け取り時に確定申告が必要

 

確定申告の方法と期限

資金提供者は次のケースで、確定申告を行います。

 

・購入型で出資金を経費に計上する場合

・寄付型で寄付金控除を受ける場合

・投資型で利益を得た場合

 

例えば購入型で仕事に使う備品やパソコンを受け取ったなら、償却資産として経費への算入が可能です。寄付型なら申告書の「寄付金控除」の欄に控除金額を記入します。投資型で利益を得た場合は所得に計上する必要があります。資金提供者の確定申告の方法と期限は、前述した資金提供者の場合と同じです。

 

税金の種類

ここで本記事に登場する各種税金について、あらためて整理しておきましょう。クラウドファンディングにかかる税金は、資金調達者の場合、個人の「所得税」と法人の「法人税」。資金提供者にかかるのは「贈与税」と、投資型で利益を得た場合の「所得税」です。それぞれを簡単に説明します。

 

所得税

所得税は会社が支払う給料や、個人や個人事業主が得た収入にかかる税金です。1年分の収入から、必要経費を差し引いた残りの金額を「所得」として税額を計算します。購入型や法人で寄付型の場合などは、提供された資金から使った費用を差し引いて所得を計算します。

 

収入-経費=所得

 

この所得からさらに一定の額を控除して税額の計算をします。個人の場合は、控除後の所得が高い部分ほど適用される税率が高くなる累進税率で、5%から45%まで7段階に分かれています。計算式は次のとおりです。

 

(所得-控除)×税率=税額

 

出典:財務省「所得税について教えてください」(2022-09-15)

 

出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」(2022-09-15)

 

贈与税

贈与税は、個人からの贈与によって財産を取得したときにかかる税金です。対象となるのは、寄付型で資金提供者と資金調達者がともに「個人」の場合です。個人間の贈与は所得税の課税対象にはならないため「所得税の確定申告」は必要ありません。

 

贈与税は該当する年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与された財産を合計して、合計金額から基礎控除額の110万円を差し引いた金額に贈与税の税率を掛けて計算します。

つまり集めた資金の合計額が110万円以下なら贈与税はかからず、申告も必要ありません。

 

110万円超の部分は課税価格によって10%〜55%の税率がかかり、税率によって最大400万円までの控除があります。

贈与税の計算式は次のとおりです。

 

贈与税額=(1年に贈与された額-110万円)×税率-控除額

 

例えば500万円を集めたなら「500万円-110万円×20%-25万円」で53万円が贈与税額です。税率と控除額は、集めた金額(500万円)ではなく、基礎控除の110万円を差し引いた課税価格(390万円)に該当するパーセンテージと控除額で計算してください。

 

出典:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」(20222-09-15)

 

 

法人税

法人が資金調達者となり、個人や法人から資金提供を受けた場合は、法人税の課税対象になります。

 

法人税は、法人の企業活動により得られる所得に対して課される税です。法人の所得金額は、益金から損金を引いた金額です。一般的に益金は商品・製品などの売上収入や土地・建物の売却収入などを指します。購入型・寄付型の場合には集まった資金が益金で、損金(経費)を差し引いた額が所得です。

 

法人税額は所得金額に税率をかけ、税額控除額を差し引いた金額に税率を乗じて算出します。税率は中小法人(資本金または出資金の額が1億円以下の法人など)の場合、年800万円以下の部分が15%。年800万円超の部分で23.2%です。それ以外の法人は一律23・2%の税率です。

 

出典:財務省「もっと知りたい税のこと・法人税を知ろう」(2022-09-15)

 

出典:国税庁「No.5759 法人税の税率」(2022-09-15)

 

「購入型クラウドファンディング」にかかる税金と確定申告

ここからはクラウドファンディングの種類別に、関連する税金を紹介していきます。

 

購入型の募集方式は「all-or-Nothing(オールオアナッシング)方式」と「all-in(オールイン)方式」の2種類があります。

 

all-or-Nothing方式は目標額に達した場合のみプロジェクトが成立する方式です。頓挫した場合は、原則として資金を資金提供者に返金するため、税務上の会計処理は行われません。

一方、all−in方式は目標金額を達成せずに終了した場合でもプロジェクトが成立する方式です。all−in方式では目標額に届かなくても、1件でも支援があればプロジェクト成立となり、資金調達者にリターンを遂行する義務が発生し、課税義務が生じます。

 

購入型で集めたお金の考え方は「商品を販売した利益」と同じ。所得の計算方法も商品の販売利益と同じく「売上(調達資金の合計)-経費(リターンの原価+資金提供を受けるために要した費用の合計)」です。

 

税金の考え方についても、購入型は「通常の売買」と同じです。資金調達者は資金受取時に「前受金」で計上し、商品を引き渡した時点で「売上」に振り替えます。消費税は通常の売買と同じく「課税取引」です。

 

購入型の資金調達者が行う会計科目については、以下のとおりです。

 

・受取時の資金=前受金

・引き渡し時=売上(事業所得・雑所得)

・資金提供者へのリターン=原価

 

購入型で節税する場合は、前述したように税務署に開業届や青色申告承認申請書を提出するのがおすすめです。一方で資金提供者は商品を購入しただけのため、課税はされません。ただし、前述したようにリターンを受けた商品やサービスを事業に使用する場合に経費として計上できます。

 

経費に算入できるのは「リターン商品の原価」「プラットフォームの手数料」「リターン提供のため包装費・送料」「インターネット料金」などです。その他にも要した費用があれば計上できます。ただし、無関係の費用を計上すると税務署から指摘が入る可能性もあるため注意が必要です。

 

「寄付型クラウドファンディング」にかかる税金と確定申告

寄付型は、原則として資金提供者に見返りがありません。あったとしても「お礼のメッセージ」や「活動報告」程度のささやかなリターンです。お金の寄付と同じとみなされるため、寄付型と呼ばれます。地域活性や町おこし、自然環境保護や高齢者・子どもに役立つ活動などを目的とした寄付型にかかる税金は、通常の寄付と変わりません。

 

寄付型の資金調達者が行う会計科目については、以下のとおりです。

 

・資金提供者からの支援金=贈与/一時所得/受贈益

・資金提供者に返すリターン=原価

 

資金調達者が「個人」の寄付型では、資金提供者も「個人」の場合は「贈与」、「法人」から資金提供を受けた場合は「一時所得」として処理します。

法人が資金調達者の寄付型で、個人から資金提供を受ける場合の寄付金の会計処理は「受贈益」です。

 

資金提供者は控除を受けられる(節税できる)

資金提供者の場合、個人の立場で一定の条件を満たす法人に資金を提供したときに「寄付金控除」を受けられます。

 

寄付金控除とは、個人が国や地方自治体、公共団体や特定公益増進法人などに寄付をした場合に受けられる控除のこと。寄付型でも一定の条件を満たした公益性のある法人に資金を提供した場合は、寄付金控除の対象です。資金調達者が個人や一般法人の場合には、寄付金控除の対象にはなりません。

 

寄付金控除額の計算式は次のとおりです。

 

控除額=1年間の寄付金の金額(総所得金額等の40%相当額まで)-2,000円

 

寄付金控除を受けるには、確定申告が必要です。申告には主催団体などから交付された、受領証・領収書を添付する必要があります。寄付型には通常、寄付金控除の対象となる旨が記載されているため、確認しておくとよいでしょう。

 

出典:国税庁「No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」(2022-09-15)

 

資金調達者が控除を受けられる(節税できる)ケースもある

寄付型の資金調達者は、個人から資金提供を受けた場合に限り、「贈与税」の基礎控除を利用できます。前述したように、贈与税には110万円の基礎控除があり、1年間に110万円までは贈与しても税金がかかりません。

 

法人からの資金は「一時所得」として計上する必要があるため、贈与税の基礎控除の対象外です。寄付型で法人と個人の双方から資金を提供された場合には、個人からの資金は「贈与」、法人からの資金は「一時所得」と区別して申告します。

 

出典:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」(20222-09-15)

 

「投資型クラウドファンディング」にかかる税金と確定申告

投資型は「購入型」「寄付型」に比べると、それほど件数は多くありませんが、申込者が多く参加できないほど人気のプロジェクトもあります。現状では個人が資金調達の方法で投資型を選択することはほとんどありません。主に企業の資金調達の手段として利用されています。

 

投資型には、次の3つのタイプがあります。

 

・融資型クラウドファンディング

・ファンド型クラウドファンディング

・株式型クラウドファンディング

 

いずれのタイプも資金調達者には、資金を授受したタイミングでなく、資金によって利益が出た場合に課税対象となるのが一般的です。

 

資金提供者の場合も分配金を受け取る際は利子所得や配当所得に区分され、所得税の課税対象になります。

それぞれの分配金にかかる所得税は、分配時に20.42%の税率で源泉徴収されているのが一般的です。そのため他の雑所得などと損益通算するなどして、源泉税を支払い過ぎている場合には、確定申告で過払い分が戻ってきます。

 

「融資型」「ファンド型」「株式型」、それぞれの特徴は次のとおりです。

 

出典:国税庁「No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)」(2022-09-16)

 

融資型クラウドファンディング

 

融資型は、資金調達者が複数の個人から少額の出資金を集め、資金を企業に融資するタイプです。資金提供者は元金と貸付利息をリターンとして受け取ることができます。「ソーシャルレンディング」「貸付型クラウドファンディング」とも呼ばれます。

 

資金調達者は、資金提供者からの支援金を「借入金」、資金提供者に返すリターンを「貸付金」として会計処理します。

 

ファンド型クラウドファンディング

 

ファンド型は、特定のプロジェクトに対するファンドを作って資金調達する仕組みです。資金提供者はプロジェクトの成果に基づいて配当金をリターンとして受け取ることができます。ファンド型ではプロジェクトで生み出された商品やサービスが提供される場合もあるでしょう。

 

ファンド型の場合、資金調達者は資金提供者からの支援金を「資本金」として会計処理します。

 

株式型クラウドファンディング

 

株式型は、非上場株式を発行したり、売却したりして資金を調達する方法です。資金提供者は、出資額に応じて配当金をリターンとして受け取れ、将来の株式上場(IPO)などがあれば売却益も期待できます。ただし、1つの企業に対しては1年間で50万円までしか出資できません。資金調達者となる企業も調達できるのは、年間1億円未満です。

 

株式型では、資金調達者が利益を得た場合、資金提供者からの支援金を「資本金」として会計処理します。

 

確定申告を忘れた場合は「ペナルティ」の可能性あり

クラウドファンディングに限った話でなく、確定申告の必要がありながら申告しなかった場合には、ペナルティがあります。原則として確定申告の必要がある資金調達者はもちろん、資金提供者も分配金を受け取ったときなどに確定申告を忘れないようにしましょう。

 

国税庁が明記している、主なペナルティは次の3つです。

 

・無申告加算税

・延滞税

・重加算税

 

それぞれを詳しくみていきましょう。

 

無申告加算税

無申告加算税は期限までに申告しなかった場合に発生します。無申告は、納税者自身が収める税金を計算する「申告課税制度」の土台を揺るがすため、ペナルティも重くなるのが一般的です。

 

納税期限が過ぎた後に、税務署から指摘を受けた後に申告する場合、税額50万円までの部分に15%、50万円を超える部分については20%の加算税が課されます。なお税務署から指摘される前に自主的に期限後申告した場合、無申告加算税は軽減されて5%です。

 

仮に100万円の納税を申告しないで、税務署の指摘を受けて期限後に申告したとします。その場合の無申告加算税は「50万円×15%」+「50万円×20%」で合計17万5,000円。自主的な期限後申告の場合は「100万円×5%」で5万円です。

 

出典:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」(2022-09-15)

 

延滞税

延滞税は、法定納付期限日(個人なら確定申告書の提出期限日3月15日)までに、支払うべき税金を納めていない場合に課税される税金です。期限後に修正したり、更正あるいは決定処分を受けたりした際に、納めるべき税額が不足していた場合にも延滞税は生じます。

 

延滞税は、税金の納付期限の翌日を起点に完納されるまでの日数をもとに計算されます。延滞税額の計算式は以下のとおりです。

 

納付すべき本税の金額×延滞税の割合×滞納日数÷365日=延滞税額

 

延滞税の割合は納付期限の2カ月までと2カ月以上で異なり、その合計額が延滞税額です。

 

納付期限の翌日から2カ月間は、納税額に年率「7.3%」もしくは「特例基準割合※に1%を加えた割合」の低い方を乗じて、その金額に「完納期限の翌日から完納、または2カ月を経過する日数」に応じた割合(÷365日)で計算します。

 

2カ月を超える期間の場合は、年率「14.6%」または「特例基準割合に7.3%を加えた割合」の低い方を納税すべき額に乗じて、「2カ月を経過する日の翌日から完納までの日数」に応じた割合(÷365日)で計算します。

 

※特例基準割合=銀行における前年の新規短期貸出約定平均金利に年1%分を加えた割合

 

 

図の引用:国税庁「延滞税の計算方法」

 

例えば、3月15日までに納付するべき税額が100万円で、3カ月後の6月15日に納付したとします。その場合の計算は以下のとおりです。なお計算に当たって延滞税は、特例基準割合に1%を加えた割合(2カ月まで2・6%、2カ月超8・9%)としています。

 

a:2カ月を経過する日(5月15日)までの延滞税

100万円×2.6%×61日÷365日=4,345円

 

b:2カ月経過する日から完納日(6月15日)までの延滞税

100万千円×8.9%×31日÷365日=7,558円

 

a+b=11,900円(100円未満切り捨て)

 

100万円を3カ月後に延納した場合には、11,900円の延滞税が余分にかかる計算です。

 

出典:国税庁「延滞税の計算方法」(2022-09-15)

 

重加算税

加算税の中でも厳しいペナルティが「重加算税」です。重加算税は過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税に代わって課されるもの。計算の基礎となる事実の全てまたは一部を仮装・隠蔽していた場合などの悪質なケースに適用されます。

 

国税庁は次のような事実を、重加算税に相当する仮装隠蔽行為に該当するとしています。

 

・いわゆる「二重帳簿」の作成

・帳簿書類の隠匿、虚偽記載、改ざんなど

・簿外資産にかかわる利息収入、賃貸料収入などの不計上

・簿外資産をもって役員賞与その他の費用を支出している

・同族会社にもかかわらず、架空の株主や名義貸しなどで非同族会社を装おう

 

過少申告の重加算税は原則35%、無申告の重加算税は原則40%で、計算式は次のとおりです。

 

重加算税=納付税額×35%(40%)

 

例えば、本来納めるべき100万円の税金を仮装隠蔽行為でごまかしていたら、35万円または40万円の重加算税が課せられる計算です。

 

出典:財務省「加算税の概要」(2022-09-15)

出典:国税庁「法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」(2022-09-15)

出典:税務研究会「国税通則法第68条重加算税」(2022-09-15)

 

クラウドファンディングにかかる会計の注意点

最後にクラウドファンディングの税務会計で、注意すべき点を挙げておきます。

 

リターンできないとき

購入型には、all-In方式とall-or-Nothing方式の2種類がありました。all-In方式の場合、支援金が目標金額に満たなくても、約束していた商品やサービスを資金提供者にリターンしなければなりません。しかし、プロジェクトが頓挫したり、必要な資金に達しなかったりして、商品やサービスが提供できないケースもあるでしょう。資金調達者が予定していたリターンを実行できない場合、資金提供者に返金するか、寄付型として処理する必要があります。

 

返金する場合は、資金提供者との事前の取り決めや協議に従って返金します。一方、返金しない場合は「前受金」を「受増益」に振り替える処理が必要です。

 

プロジェクトを失敗で終わらせないためにも、企画立案の際に無理なく集められる目標金額で計画を進めましょう。

 

消費税の取扱い

資金調達者が消費税の課税事業者であれば、購入型で資金調達をした際に消費税も課税されます。その年が消費税の非課税事業者であっても、クラウドファンディングで集めた資金と売上の合計が1,000万円を超えれば、2年後の売上が、仮に1,000万円以下でも消費税の課税事業者となるため注意してください。

 

なお寄付金型で「受増益」となる場合、消費税は非課税です。

 

出典:国税庁「消費税のしくみ」(2022-09-16)

 

まとめ

クラウドファンディングには「資金調達者」「資金提供者」の2つの立場があり、必要に応じて確定申告する必要があります。さらに種類が「購入型」か「寄付型」か「投資型」かによってもかかる税金や確定申告の有無が異なるため、自身の場合に当てはめて、正しい知識で会計することが大切です。

 

正しい知識があれば、調達した資金や利益をペナルティなどで無駄にせず活用できるでしょう。資金提供者にとってもそれは同じ。贈与税控除を利用したり経費にしたりすれば、プロジェクトに賛同しながら節税ができます。

 

手軽に挑戦できる資金調達や資金提供による節税手段の一つとして、検討してみましょう。

この記事を書いた人
JPS広報部
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